ガラスケースの向こう側

晴れ。腹痛を訴えて学校んだ息子を病院に連れていく。
帰ってきてベランダに干した布団を取り込んだらいつの間にか息子とアレンとビビとで眠っていた。
幸せな光景だと思う。

すやぁ……

病院の帰りにアレビビの誕プレを買うためペットショップへ行った。
そこに十数匹の犬猫がいたんだけど、息子はそれを見て「なんか胸が苦しくなる」とつぶやく。
どうして?と聞いても「なんか」としか言わない。思いを言葉にする技術がないのだろうな。

可愛らしい子たちのほとんどがすやすと寝ていて、一匹のペルシャ猫だけずっとニャーニャー鳴いていた。出たいのかな。ガラス越しに小さな声が漏れ聞こえてくる。とびきり可愛い子たちがずらりと並んだいて、見ているだけで癒される。

高額な値段が張られたガラスケースに書かれているのを見ていくと、ほとんどの子が約1ヶ月ほどそこで過ごしているらしい。そうか。1か月か。

居酒屋で酔っ払って動けなくなってる人、みたいなアレン

捨てられてしまっても自由な猫と、いづれ引き取られるにしても狭いショーケースで過ごす猫と、どっちが幸せかってそれは、計り知れない。幸せの線引きは結局のところ人間のエゴだから。

ふと見ると、間もなく生後5ヶ月になる柴犬がだらけきって眠っていた。11万円という値段がほかに比べると極端に低いけど、値下げされたものなのか、はたまた柴はこんなものなのだろうか。
よく見るとガラスに貼られた写真と実物が全然別犬だ。ふっくら真ん丸の子が映ってるけど、今目の前で寝てるのは顔立ちも成犬同様、シュッとしてしっかりと柴犬。おかしいような悲しいような気になるな。元気に過ごせよ。

ところでペットショップの犬たちは散歩されてるのかな。つやつやの毛並みを見るとちゃんと手入れされている気はするけども。スタッフの人たちを家族と思ってるのかもしれないよね。長くいると離れるのが寂しくなったりしないのだろうか。

軽く店内を見た後また猫コーナーに戻り、キラキラした目でこっちを見ているサイベリアンとガラス越しにちょっとだけ遊んで帰ってきた。息子はずっとソワソワしていた。
早くいい飼い主が見つかるといいよね、って話しながら店を出て、帰ってきたらアレビビを抱きしめていた。抱きしめられるって幸せだな。

そうそう、結局誕プレは買えなかった。お目当ての品が見つからなくて。なので結局通販にしようと思う。だからごめん、アレビビ。
どうやら誕生日には間に合いそうもないみたい。

ビビ
うぬぅ、許すまじ

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