映画『フォーリング・フォー・クリスマス』 Netflixオリジナル
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ネタバレ無しレビュー
クリスマスに相応しいドタバタラブコメディ
子供のころ、一年の行事の中でクリスマスが一番好きだった。今でも好きであることは変わらないがお正月というイベントも捨てがたい年ごろになってしまった気がする。そんなクリスマスの折に、ネットフリックスからクリスマスのオリジナル映画が配給された。

予告映像から、大手ホテルのご令嬢がアクシデントにより記憶を喪失し、どこぞの中年男性といい雰囲気になる…というストーリーが見える。あまりにもよくある展開だ。記憶喪失なんて手垢がついた手法を今どき使うとは、と驚きつつも観てみようと思ったのは、結局のところクリスマスに重たいストーリーなんて求めていないから。
贅沢に慣れきったホテル王の娘 (リンジー・ローハン)。恋人と出かけた雪山でスキー事故に遭い、完全に記憶を失ってしまう。そんな彼女を助けたのは、小さなスキーロッジのハンサムなオーナー (コード・オーヴァーストリート)。彼とそのおませな娘といっしょに過ごすうち、クリスマスが近づいてきて…。
Netflix『フォーリング・フォー・クリスマス』予告編

『フォーチュン・クッキー』以来、久しぶりに見かけたリンジー・ローハン。甘やかされて育てられた世間知らずのホテル令嬢を演じている。
年の割に若い女性を演じているのだな…と思ったらまだ32歳だった。キャリアがあるので年齢もベテランかと思っていたが違うらしい。
飛ぶ鳥を落とす勢いにあるインフルエンサーととゴールイン目前であるのに、どこか浮かない顔をしている。
ちょっとした仕草や行為に噛み合わなさを感じているものの、それに向き合うことが出来ない(というより価値観の相違に気づくことが出来ない)ままスキーに出かけ、そこで事故に遭ってしまうのだ。

展開がベタ過ぎるし手法は使い古されてる…が故の安心感
映画や物語において記憶喪失ほど難しい題材はないといえよう。無理やり感が漂うし(恐らく身近で記憶喪失になった人がいるという経験はほとんどにおいて無い)、注意しないと「安直」と非難されてしまうものだからだ。
だがしかし、『フォーリング・フォー・クリスマス』においては違う。『冬ソナ』以来続いた往年の韓国映画のような展開を笑って受け入れられる。
そうだよね、それしかないよね。
自分(主人公)の意志に関係なく決まっていくスピーディーな物事を、無責任(且つコミカル)にストップさせられるのは『記憶喪失』以外でなにがあるというのか。
見え過ぎる展開とどれほど聞いても聞き飽きることのないクリスマスソング、心躍る鈴の音はストーリーが温かく展開することを示唆している。そして、
彼女を助けてくれたヒーロー(ペンションオーナー)とラブになる。という王道ライン。
それは主人公が遭難したときから全視聴者が想像できる。なるべくなるはやで理解させようという意思が感じられて好印象だ。

いわゆる昔からあるザ・アメリカンな映画
これはいわゆる昔からある『ザ・アメリカン』な映画である。とても単純で、ドタバタで、オー・マイ・グッドネス!なストーリー。
決してバッドな展開にはならないのが醍醐味だ。
そしてここに出てくるヴィランズは生粋の悪者ではない…いや、悪者ではないどころかべたべたに人のいいヴィランズだといえる。ただ一般常識が無くて、ただ不穏な空気を纏っているだけにすぎないからだ。彼らがまたストーリーをより温かく昇華してくれる。
頭も身体も疲れているから嫌な気分になりたくない。ハラハラもいらない、ただただ平穏なハッピーエンド映画をみたい。映画『フォーリング・フォー・クリスマス』は、そんな要求を叶えてくれるタイトルである。
例えていうならホーム・アローン

「あり得ない展開」とか「現実味が乏しい」とか言いたがる人にはおすすめしない。
現実はそんな『素敵な出会い』は無いし、好きになりたい気持ちはあってもそういう人と『出会えない』ものだったりする。だからこそ映画やドラマで、現実にはあり得ないストーリーを楽しむことが出来るのだ。
『フォーリング・フォー・クリスマス』はたとえるならホーム・アローンのようなもの。ドタバタ劇とハートウォーミングなストーリーで、ベタだし次の展開がみえみえだし色々あり得ないけど、ハッピーだからいっか!と感じる作品だ。
コロナや社会情勢不安で経済が落ち込んでいる今、なにも考えずに心をポカポカ出来る稀有な映画だといえよう。
家族でも、カップルでも、友達とでも
エロ無し、グロ無し、出血なし。
あるのはスマートなキスぐらいかな。
クリスマス時期にファミリーで見ることをおすすめしたい。

監督と主要キャスト
監督
ジャニーン・ダミアン
クラシックバレエのダンサーとしてキャリアをスタートさせ、米国のバレエ団でソリストやプリンシパルを務める。その後ロサンゼルスに拠点を置き、フランシス・フォード・コッポラ監督×マイケル・ジャクソン主演の短編3D映画「キャプテンEO」(86)や、プリンスの「Batdance」(89)のMVにダンサーとして出演した。1990年代からはプロデューサー、脚本家として活動。
映画.com
主要キャスト
リンジー・ローハン
主人公のシエラ・ベルモントを演じ、子役から活躍する女優。ディズニー映画『フォーチュン・クッキー』が代表作。
コード・オーヴァーストリート
テレビドラマ『glee/グリー』でサム・エヴァンスを演じて一躍有名人の仲間入りを果たす。『フォーリング―』では寂れたペンションオーナーのジェイク・ラッセルを演じた。
ジョージ・ヤング
主人公の恋人役・タッドを演じたロンドン出身の俳優。俳優業の他に脚本や監督、司会業もこなすマルチな面を持つ。出演作は『マリグナント 狂暴な悪夢』『In the Room』など。
映画情報(あらすじと補足)
映画情報
あらすじ
贅沢に慣れきったホテル王の娘 (リンジー・ローハン)。恋人と出かけた雪山でスキー事故に遭い、完全に記憶を失ってしまう。そんな彼女を助けたのは、小さなスキーロッジのハンサムなオーナー (コード・オーヴァーストリート)。彼とそのおませな娘といっしょに過ごすうち、クリスマスが近づいてきて…。
リンジー・ローハン主演『フォーリング・フォー・クリスマス』予告編 – Netflix
コンテンツ詳細
原題 | Falling for Christmas |
監督 | ジャニーン・ダミアン |
配給元 | Netflix |
キャスト | リンジー・ローハン(主人公) コード・オーヴァーストリート(ペンションオーナー) ジョージ・ヤング(インフルエンサーで主人公の婚約者) ジャック・ワグナー(ホテル王そして主人公の父親) |
配信日 | 2022/11/10 |
上映時間 | 95分 |
シーン別注釈
ラブシーン | キスシーンあり |
露出 | 無し |
性描写 | 無し(雰囲気あり) |
暴力シーン | 無し |
殺人 | 無し |
出血 | 無し |
補足 |